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韓国カジノ視察報告

[2017.03.24]

カジノがあることで、地域にどんな影響があるのか。これを知るために、2月1日から3日間、韓国国内で唯一、韓国人が入れるカジノがある江原(カンウォン)ランドを視察してまいりましたので、その報告をさせていただきます。



実際にカジノを見るということとあわせて、賭博中毒(ギャンブル依存症)の対策をしている「賭博中毒管理センター」(国が設置)と「賭博中毒センター」(江原ランドが設置)、町起こし事業をしている「サブ村共同推進委員会」と懇談しました。その内容も反映しています。

雪道からカンウォンランドを望む

江原ランドは、韓国の北東部、首都ソウルから車で約3時間半、雪山の中にあります。
スキー場、ホテル、ショッピングなども併設している、いわゆるIR(統合型リゾート)です。しかし、収益の9割方がカジノであるとお聞きしましたから、カジノがなければ成り立たないことになります。

江原ランド全景

カジノが入る建物はこの様に大変きらびやかで、外から見る限りでは、遊園地などのアミューズメントパークに来たのかなという感じです。
カジノは、左手の高い建物ではなく、その手前の下の低い建物から入り、右手の凸凹した形の建物まで続きます。広さは、甲子園の3分の1の広さですので、結構広いことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

カジノ入口

カジノの入り口の写真です。
人が列をなしているのが見えると思います。スーツを着たりするなどという特別な感じはなく、普段着で、右手には子どもを抱いた男性がみえますが、家族づれやカップルなどで、気軽に入れる感じで次々と人が入っていきました。ちなみにVIPがカジノをやる部屋は、ここではなく、別のフロアにあるということでした。
入口では手荷物検査、身体検査があり、カメラは袋に入れて密封されます。中での撮影は禁止ですので、カジノの中の写真はありませんが、私がカジノに入場したのは平日の夜8時頃。平日にもかかわらず、入場者数は約4000人と掲示がありました。スロットの台は空いている台はなく、ルーレットやカードゲームの台でも人垣ができているような、私の予想を超える盛況ぶりでした。
平日は平均6000人、週末になると約1万人が訪れるそうで、その95%が国内客、多くが首都ソウルから車で約3時間半の道のりをバスやタクシーを乗り合って、また自家用車でやって来るということです。



カジノが入る建物の周辺はどうなっているのかといいますと、まず特徴の一つとして、この写真のように、質屋が何軒もならんでいるということです。これは車の絵を掲げた質屋ですが、自分が乗ってきた車や時計などを質にいれ、お金をつくってまたカジノにいくということです。



質屋と同じように多かったのは、マッサージ店です。いわゆる風俗系のマッサージ店だと聞きました。この写真の真ん中左手にセブンイレブンがありますが、その上が2階も3階もマッサージ店です。その右の建物の2階もマッサージ店です。
カジノの入場料は外国人は無料ですが、韓国国内の人は900円ほどかかります。入場料をはらい一度入ってしまえば、朝10時から翌日の朝6時まで20時間連続でも賭け続けられるわけですから、こうしたマッサージ店、またモーテルなどの安宿などに泊まってカジノに没頭できる環境になっていました。



この写真は、国が設置した賭博中毒の対策をしているセンターの所長さんです。手にしているのは、国が一年に一度行っている中毒者の実態調査の冊子です。
韓国では、カジノによる賭博中毒の罹患(りかん)率は、競馬や競輪など他の賭博よりも高く59・2%、10人に6人にもなると説明されました。それは、競馬や競輪と違って、賭けた結果が5分もかからない短時間で出るためです。
 これはこのセンターだけでなく、他の懇談でも同様に強調されていましたが、こうしたカジノによる中毒で、破産、離婚、自殺、青少年への悪影響などが地域社会を壊す。このことが一番深刻だということです。カジノにのめりこむことで家族と離れ、この地域に滞留し、カジノに依存して生きていくしかなくなる「新しい難民」が生まれているというお話もあり、衝撃を受けました。
訪問した時点でこのセンターが支援している中毒者は140名。再発させないためには、一生ギャンブルを断ち切るしかなく、一生支援するとおっしゃっていました。とても重い言葉だと思って聞きました。
江原ランド併設の「賭博中毒センター」での懇談の最中にも、「早くカジノに入れてよ!」と大声で泣き叫ぶ女性の声が聞こえてくる場面もあり、深刻さの一端を垣間見ました。



もともと、江原ランドがある地域は、1960年代から80年代まで炭鉱の町として栄えました。しかし、石油に取って替わられる中で衰退し、政府がカジノ誘致を提案し、2000年に設置された経緯があります。最初は、元鉱員が江原ランドに雇用される面もあり、住民はカジノの弊害についてはわかっていませんでした。しかし、住民の中に賭博中毒が広がり、青少年の犯罪率は全国平均の3倍に上り、働くことへの価値観が変わってしまったといいます。ですから、産業、教育、文化の振興など、街づくりの事業を行っている「サブ村共同推進委員会」では、特に力をいれているのは教育事業だとおっしゃっていました。

江原ランドももちろん賭博中毒を抑えるための規制策をとっています。韓国国内人は一か月にカジノに入れる日数が15日と制限されています。さらに地元住民には規制が厳しく、一か月に一回しか入れません。しかし、住民票を移動させれば、15日は入れるので規制にはならないとおっしゃっていました。江原ランド自身もさらなる規制として、一か月15日のカジノ入場が2か月続いた人は、その後1か月は入場禁止の措置をこの4月から始めると言われていました。やはりどれだけ規制しようとしても、ギャンブルの射幸心をあおる本質が変わらない限り、中毒者は生まれるわけです。
江原ランドは国が51%を出資する半官半民のカジノです。しかし、いま日本が作ろうとしているのは、どこまでも儲けを追求する民営のカジノです。政治がこういう「人の不幸を増やすもの」を合法化して推進していいはずがないと思います。

さらに、この地域では、カジノができても人口は減ったままで、「代替産業にならないということがわかった」とも言っておられました。



こんな山の上につくっても、一度没頭してしまえば車で約3時間半の道のりを何千人が押し寄せるのです。大阪では、大阪湾の夢洲に、辺鄙な所とは言え、簡単にいけるように鉄道まで引っ張って、道路を拡張してあげてカジノをつくる。どの懇談の場でも、「なぜ大阪にカジノをつくるのか理解できない。他に資源があるでしょう?」とか「大都会につくる弊害は大きい」と言われましたが、本当にその通りです。人を壊し、地域社会を壊すカジノは、まともな街づくりや経済成長のためにも「つくらせない」ことが一番であると確信を深めました。

「実施法」をつくらせない運動をみなさんと一緒に広げ、ストップさせていくために、私も引き続き力を尽くします。